実習の時に看護師さんが優しくて、自分もこんな看護師になろうと思った人、
元々精神科領域に興味があった人、
自分の近くに精神科で働いている人がいる人
など、精神科に興味を持つ理由は人それぞれだと思います。
それでも精神科領域に興味を持ってくれた人に、この科で働くことを決めた人が、やった方がいいこと、逆にやらない方がいいこと
紹介したいと思います
とっても共感できる本で頭がもげるくらい頷いた本を参考にしています。
その中からいくつか抜粋して紹介していきます
一言でいうとこの本は、看護師として、精神科で働くものとして、自分を大事にしつつ焦らず看護しようねっていうことを教えてくれている本です。
心持ち
健康管理も仕事のうちです。勤務表通りに出勤するには
新人さんが仕事をする上で周りに迷惑をかけないための第一は勤務表通りに出勤することです。それを続けることで少しづつ周りから信頼を得られるようになります。
そのために生活習慣を整え、栄養、睡眠をとって健康管理をすることが大切です。
病気で体調を崩している患者さんは自身の健康管理ができていない人を信用しませんし、患者さんによっては気を使わせてしまうことにもなります。
患者さんには余分な気遣いをさせないようにしたいものですね
患者さんに「何かしなくては」という気持ちを捨てる
一般科では「清拭」「吸引」「点滴」などの処置や看護技術がたくさんできますが、精神科では処置自体が少ないです。
状態が悪い患者さんが入院している時には「点滴」や「採血」「清拭」「褥瘡処置」などの処置、看護技術をすることはありますが、まれです。
精神科救急病棟や、総合病院の精神科の場合は状態が悪い患者さんも多くいると思うので処置の機会は増えると思いますが、それでもやはり一般科に比べると断然少なくなってしまいます。
しかし精神科では「あなたがそこに来てくれるだけ」「あなたが話を聞いてくれるだけ」で元気を与えることができる科だと思っています。
「何かしなくては」と思っていると、逆にめんどくさがられたり、患者さんにたいして陰性感情を抱いてしまうことにもつながります。
「今日も何もしてあげられなかった」と思うことで出勤するのも辛くなってしまいますからね。
仕事が終わったら、仕事のことは忘れる練習をしよう
仕事が終わったら「終わったー」と声に出し、自分で自分をよくやったと褒め、定時で帰りましょう!仕事が終わったら仕事のことは忘れプライベートの時間を楽しみます!!
なぜこんなことをわざわざ書くかというと、いろんな患者さんの語りを聞き、さまざまなことに心が揺さぶられることが増え、仕事が終わっても気持ちが離れられないこともあるからです。
精神科に限らず、家に帰ってからも患者さんのことを考えたり、やってしまった失敗などを思い出して休日も気が休まらない人も多いです。そうすると仕事から気持ちが離れられず、だんだんと仕事が辛くなってきてしまいます。
自分の心がいっぱいな状態では、病気で心がいっぱいにになっている患者さんの話なんて聞けないですし、患者さん側も話したくないですもんね。
忘れることも能力なので練習すればできる様になりますよ!
僕もまだまだ下手くそで、たまにはやり忘れたこととか思い出します・・・そんな時には海に浮かんで何も考えずぼーっとしたりドライブするようにしています!
精神科の勉強は、患者さんとの関わりを通して学ぶことから
精神科は循環器や呼吸器の様に「こうすればこうなる」という答えがない。とよく思われますが、「患者さんの数だけ答えや選択肢がある」と僕も思います。
同じ疾患でも、その人が生きてきた環境や、経験してきたことによって、全く違う症状として現れてきますし、
同じ薬を飲んでても効く人、効かない人があります。
初めから参考書で疾患や薬について勉強するのも良いと思いますが、参考書通りの患者さんにあったことが少ないくらい、いろんな患者さんがいます。
精神科での最高の教科書は患者さんです。患者さんと一つ一つの関わりを通して学ぶことに集中してみると良いと思います。
気になる患者さんができたら、これまでの人生を聞いてみましょう。初診からカルテを読んで「その人の生きにくさはなんだろう」と考えることから始めましょう。
ケア技術
患者さんのベッド周囲をよく観察しよう。ただし、患者さんのものを勝手に触ってはダメですよ
一般科では環境整備は当たり前です。
自分が業務しやすい様に床頭台上を整備したり、転倒しないようにオーバーテーブルを近くに置かない、ナースコールや吸引などのライン類をまとめておくなどは基本です。
しかし精神科では患者さんのものを触るときは患者さんの了承を得てから、という倫理的配慮が必要です。
患者さんのベッド周囲は、入院前の患者さんの生活像を映し出している情報の宝庫だからです。
行動の変化は心の変化に関連しているので、もしベッドサイドの環境が一元変わっていたら話を聞いてみましょう。患者さんの心の変化にも気づけるはずですよ。
「感情移入」を知って、自分なりの吐き出し方を身につけておこう
患者さんの語りを聞いていると、患者さんの不安や怒りなどが自分の心の器に流し込まれ同じ様な感情が湧き起こります。(これを感情移入と言います)これ自体は患者さんを理解でき関係性が深まる有用な看護技術ですが、聞きすぎると自分の心身にも悪影響を及ぼします。
患者さんの感情で心がいっぱいになってしまう前に、患者さんと距離を取ったり、人に話すなどして自分なりの吐き出し方を身につけておくと良いと思います。
相談された時、患者さんは自分の中に答えを持っていることが多いです。相手の考えを聞こう
「ちょっと待って」ではなく「5分待っていただけますか」と伝えよう
これもよく聞くと思いますが、忙しいとつい言ってしまうものです・・・
精神科では特に「いつまで待てば良いか」わからず、怒りや不安、不満につながる言葉です。
待ち時間を具体的に伝えられると、安心、納得にもつながるので良いですね
患者さんが語れないときは、沈黙のコミュニケーションを使おう
沈黙には、反抗、虚しさ、怒り、不安、熟考などいろんな意味があります。精神科看護では、患者さんが語れなくても、暗い雰囲気や思い詰めた表情、固く結んだ口などから、患者さんの沈黙の意味を汲み取り、語り出せるまで黙って待つ、沈黙のコミュニケーションが求められます。
看護師から尋ねて語ってもらおうとすると、より症状が重くなってしまうこともあるからです。沈黙のコミュニケーションは時に、言葉を使う以上のコミュニケーションになり、患者さんに信頼と安心感を与えます。
「待つ」というケア技術。その意味を知りましょう
患者さんから話し出されたら、最後まで口を挟まずに聞こう
患者さんが言葉で自分の思いや考えを伝え始めたら、途中で自分の考えを伝えたくても、辛抱して最後まで口を挟まずに聞くということを意識してみましょう。
黙って聞くことで患者さんは自分の考えが整理でき、ストレス発散になり、心から聞いてもらった体験ができ、次からまた自分の言葉で看護師に伝える勇気を持てます。
看護師にとっては、患者さんが今、何を考えているのかを知る絶好のチャンスになります。
「大丈夫」「頑張れ」という言葉を安易に使わないようにしよう
今を生きることに全てのエネルギーを注いでいる患者さんに「大丈夫!」とか「頑張れ!」とという言葉を容易にかけるのは酷です。
患者さんは「大丈夫じゃないからここにいるのに」とか「これ以上何を頑張れっていうの」と心の中でつぶやくでしょう。そうしてそう言った言葉をかけたあなたを、その場しのぎやごまかしで口にしているのだと思い、「やっぱりこの人も自分のことをわかってくれない」と感じ、心を閉ざしてしまうでしょう。